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私は常々、生徒たちに「入試で負けない勉強をすること」を伝えています。 そして、指導においても「負けない学習」を重視しています。
では、入試における「勝ち負け」とは何を指すのでしょうか? 一般的には受験校の合否が勝敗を決めると考えられがちですが、私は必ずしもそうは思いません。
例えば、合格を最優先し、現在の学力よりも2ランク、3ランク下の学校を選んで受験し、合格を果たしたとします。 一見すると成功に見えますが、本当にそれが「勝ち」なのでしょうか?
合格の可能性が高い学校を選べば、模試の判定はA判定になるでしょう。 それに安心して、他の受験生が必死に勉強している間に気を緩めてしまったら? それは単なる「合格」ではあっても「勝利」ではありません。
ただし、志望校のランクを下げることが悪いわけではありません。 それも一つの戦略です。大切なのは、そこで努力を怠らないこと。 志望校のランクを下げたとしても、上位での合格を目指して努力し続けるのであれば、それは決して「敗者」ではありません。
一方で、不合格になった受験生が必ずしも敗者かというと、そうではありません。
志望校を下げることなく、難関校合格を目指し、最後まで努力し続けた受験生がいたとします。 たとえ結果が不合格だったとしても、その努力の過程で得た学力や精神力は大きな財産となります。
このように、受験を通じて本気で挑戦し、自分を高めようとした人が敗者であるはずがありません。
私が考える「真の敗者」とは、入試という人生の大きなチャレンジの場において、何の努力もせず、安易な選択をしてしまう人です。
・自分の学力よりも大幅に低い学校を受験し、十分な努力をしなかった人
・難関校に挑戦すると言いながら「ダメ元」と決めつけ、本気で勉強しなかった人
このような人は、受験の場面だけでなく、人生のさまざまな局面で同じように手を抜く可能性が高いでしょう。
「勝つための勉強」と「負けない勉強」には大きな違いがあります。
「勝つための勉強」とは、入試の出題傾向に特化した、いわゆる“テクニック重視”の学習です。
例えば、
・試験によく出る単元だけを勉強する
・過去問ばかりを解き、出題傾向に依存する
・効率だけを求め、基礎をおろそかにする
こうした勉強法は、少し出題傾向が変わると全く対応できなくなります。また、入試が終われば知識がすぐに抜け落ち、進学後に苦労することになります。
私の経験上、普段から勉強を怠けている生徒ほど、「楽して合格する方法」を求める傾向があります。
例えば、
・「予想問題が欲しい」
・「模擬テストをしてほしい」
・「一発逆転の勉強法を教えてほしい」
こうしたリクエストは、基礎力が十分な生徒ではなく、むしろ学力が低い生徒からの方が多いのです。
もちろん、予想問題や模擬テストは有効な学習法ですが、それは「基礎学力がしっかりしている人」に限ります。 大切なのは、まず教科書を読み込み、問題集を解き、知識をしっかり定着させることです。
一方で「負けない勉強法」は非常に強固であり、学習の本質を押さえたものです。
この地道な作業を続けることで、学力は確実に伸びていきます。 さらに、この勉強法で得た知識は入試後も定着し、進学後にも大きなアドバンテージとなるでしょう。
また、福岡高校や修猷館高校、大濠中や西南学院中といった超難関校を目指すのであれば、「負けない勉強法」は必須です。 受験直前になって慌てて勉強を始めても「時すでに遅し」。難関校を目指すならば、今この瞬間から本気で取り組むべきです。
入試において真に大切なのは、「合格」することではなく、「負けない」ことです。
そして何より、受験は生徒本人だけでなく、保護者のサポートも不可欠です。
「うちの子は本気で勉強に取り組めているか?」
「短期的な合格にこだわりすぎていないか?」
ぜひ、ご家庭でも話し合い、長期的な視点でお子さまの成長を支えてください。
本気で努力した先にこそ、合格とその先の未来が待っています。
2023年9月22日更新